GWも明けて、「そろそろMATLABをはじめないと…」という方もいらっしゃるかと思います。MATLABといっても色々と始め方や考え方はあるかと思います。そのため、原則は所属の方針に則るとした方が無難です。「そうはいっても、どうやったら…」という方もいらっしゃるかと思います。そういった向けにMATLABをはじめてみる一例についてご紹介できればと思います。
1.インストール
インストールの方法とライセンス
まずはインストールです。ここは、所属組織のやり方を前提とした方が良いかと考えます。理由はMATLABのライセンス形態が所属ごとに違うためです。おそらく、この記事を読まれている方の多くは、所属組織が既にライセンスを所持している場合が多いかと思います。そのため、ご自身の所属のライセンスに合致したインストール方法を行う方が良いかと考えます。
一方でHomeライセンスも存在します。このライセンスは趣味用としての位置づけの利用にとどまりますが、他のライセンスに比べて安価に購入することができます。Homeライセンスについてはこちらを参照していただくと良いかと考えます。
バージョン
MATLABには多くのバージョンがあるかと思います。そのため、「どのバージョンをインストールしたらいいか…」と悩まれる方も多いかと思います。基本的には所属の先輩やボスの指示に従うのがよいかと考えます。「特になし」であれば、新しいバージョンをインストールする方が良いかと考えます。
留意した方がいい点としては、「R2025aから操作画面が大幅に変更になった」ことが挙げられます。次世代に向けて、使いやすい機能が豊富に組み込まれているかと感じますが、所属の先輩やボスなどにとっても未知の領域があるかもしれません。そのため、質問をしても「???」となる場合もある可能性があります。
慣れないうちは皆が使っているバージョンではじめてみるのもよいかもしれません。
ToolBox
MATLABには多くの有償のToolBoxが存在しており、インストール時に☑を入れる場面もあるかと思います。そのため、「どれを☑したらいいか分からない…」といった場面も出てくるかと思います。原則として、ライセンスに紐づけられたToolBoxが表示されているかと考えます。そのため、基本的には選択できるものは全て選択した方がよいかと考えます。
2.起動して一通り使用してみる
MATLABをインストールすることができたら、早速立ち上げて一通り触ってみましょう。本当に最低限の触るポイントについては、以下の動画でご紹介しています。
- MATLABの画面構成
- コマンドウィンドウで足し算
- スクリプトを使ってみる
3.基本的な構文などに慣れる
画面の雰囲気をつかんだら、MATLABでのコードの書き方などを体験してみましょう。詳しい使い方は、公式の「MATLAB入門」がお勧めです。修了証明書も表示されます。
【公式「MATLAB入門」】
※ご利用にはアカウント登録が必要です。
4.ショートカットキー
作業性を上げるためには、ショートカットキーを使うことが良いかと考えます。おススメのショートカットキーをご紹介します。macのショートカットキーについては自宅のPCで以下が動作することは試していますが、再現しない場合はご連絡いただければ幸いです。
windows | mac (R2024b) | |
切り取り | Ctrl + X | Command + X |
コピー | Ctrl + C | Command + C |
貼り付け | Ctrl + V | Command + V |
保存 | Ctrl + S | Command + S |
セクションの実行 | Ctrl + Enter | Command + Enter |
現在のセクションを実行して次に進む | Ctrl + Shift + Enter | Command + Shift + Enter |
コメント化 | Ctrl + R | Command + / |
コメント解除 | Ctrl + T | Command + Option + / |
自動インデント | Ctrl + I | Command + I |
※macのトラックパッドを利用している方は、二本指タップで右クリックできます。
5.生成AIとの付き合い方
chatGPTの4oモデルが出てきて1年ほど経ちますが、一日一度以上の頻度で生成AIとやり取りしている人も多いのではないでしょうか。chatGPTをはじめ生成AIを使うと、MATLABでのコーディングが便利になる場面が多いです。ものすごく便利なのですが、注意しなければいけない場面も沢山あります。この1年間、私がサポートさせていただいている中で、次のような場面をよく見聞しました。
【生成AIを使って困った場面】
・エラーなく動くが、目的のものではない
・生成AIが作成したコードが高度で中身を確認したり修正できない
研究や開発で使用するにあたっては、「目的とした動作になっているか」ということが非常に重要かと考えます。「動いたからそれでいい」としていくと、最後まとめる時に大きなやり直しをしなければならない場面もでてくるかと考えます。
【気をつけた方がいいポイント】
あくまで、私個人が生成AIを使うときに注意しているポイントをご紹介します。
・安易に信じない
・数行単位で管理する
・関数に絡む修正は、関数が扱えるようになってから行う
※生成AIが出力するコードに根気よく向かい合いながら、修士研究を全うした社会人院生にインタビューしました。
6.MATLABを使う上での個人的な教訓
ご参考になるかは分かりませんが、私がMATLABを触ってきた中で、自分自身への教訓となった項目についてご紹介します。
- 「分からない…」ときは、公式HPで調べる
→公式HPでは、専門的な関数についても、丁寧にサンプルや資料を使って紹介されています。MATLABを使うことのメリットとしてこの公式HPのドキュメントが豊富にあることも一つだと考えてます。”doc 関数名”をコマンドラインに入力しても大丈夫です。 - コードとアルゴリズムは別
→「エラーなく動くコード」は生成AIで作成する場面も多いですが、「どのような処理のプロセスを踏みたいか」については、担当者が関係者と議論しながら造詣を深めていく必要があるかと考えています。この造詣がしっかりしていると「動くけど目的のものではない…」という事態を避けることができるかと考えます。 - 小さくても感じた違和感には、いつか再会する
→コーディングをしていく過程で、違和感に出逢う場面も多いかと考えます。作業優先となった場合、この違和感に対して、目を瞑ってしまいたいこともあるかと思います。経験上ですが、その違和感はどこかのタイミングで再開する可能性が高いです。全てを完璧にクリアにすることはハードルが高いかと思いますので、影響する範囲を把握しながら進めるのが理想かと感じます。
7.次のステップと相談する相手
3章のMATLAB入門をおえられたら、早速ご自身のテーマに向けて活動にチャレンジしてみるのも手段かと考えます。理由は、この時点から分野や所属、テーマ、状況によってアプローチの仕方が変わってくるためです。ぜひとも、ご自身の所属やテーマに沿う方針で取り組まれてください。
また、MATLABを触っていると「知っていたらこんなに時間がかからなかったのに…」という場面に出くわす機会も多いかと思います。いわゆる「沼」といわれるものです。自分で調べて解決するのが好きな方であれば問題ないかと思いますが、そうではない方も多いかと考えます。ある程度調べてみて解決することが難しいようであれば、まずは、その自分のテーマに近い周囲の先輩などに相談してみると良いかと考えます。
8.おわりに
今回はMATLABをスタートするにあたって、気をつけていた方が良いことを2025年度向けに抜粋いたしました。何かしらの参考になれば幸いです。
SCISELでは「MATLAB LabVIEWで困った…」方をオンラインでサポートしています。「相談相手が身近にいない」や「時間がないから部分的にコーディングを代行してほしい」「前任者やAIが作ったプログラムの中身をレビューしてほしい」などについてお力になれればと考えています。ご希望がありましたら、こちらまでご連絡いただければ幸いです。
