この記事のポイント
- MATLAB R2026aで追加・改善された機能を、実務での使いどころに絞って確認します。
raincloudplot、対話型Webキャンバス、uniqueの欠損値オプションなどを紹介します。- UIやLive Editorの改善も含め、日々の解析作業でどこが便利になるかを整理します。
MATLAB R2026aで日常作業が少し楽になりました
MATLABのアップデートは、大きな新機能だけでなく、普段の解析や資料作成で「こうできると助かる」という改善が入っていることがあります。
R2026aでは、可視化、Live Editor、欠損値処理、起動時間など、日常的に使う部分にもいくつかうれしい変更がありました。今回は、関連投稿で紹介した内容をもとに、実務目線で気になったアップデートをまとめます。
可視化まわりのアップデート
raincloudplotで分布を1枚の図にまとめやすく
R2026aでは、新しく raincloudplot 関数が追加されました。
rain cloud plotは、分布の形、データ点のばらつき、代表的な位置をまとめて確認しやすい可視化です。公式ドキュメントでは、上側に violin plot に相当する分布形状、下側に swarm chart のような点群を表示する図として説明されています。
例えば、単に平均値だけを見るのではなく、「データがどのあたりに固まっているか」「外れた点があるか」「分布が偏っていないか」を見たい場面で役立ちます。
x = randn(100,1);
raincloudplot(x)また、投稿画像でも確認できるように、既定では横向きの表示ですが、Orientation を使って縦向きに変更することもできます。カテゴリごとの分布比較や、実験条件ごとの測定値比較にも使いやすそうです。
対話型WebキャンバスでHTML上でも図を操作
R2026aでは、FigureをHTMLへ出力するときに「対話型Webキャンバス」を選べるようになりました。
これは、MATLABで作成したグラフをHTMLとして共有し、ブラウザ上で拡大・縮小・回転などの操作を行える仕組みです。MATLABを持っていない相手にも、静止画より少し情報量の多い形で図を渡せるのが便利です。
たとえば、解析結果の共有、社内レビュー、教育資料、Webページへの埋め込みなどで活用しやすいと思います。
座標軸ツールバーの見た目と操作性が改善
R2026aでは、座標軸ツールバーの見た目も変わりました。
従来よりもすっきりした印象になり、ツールバーが常時表示され、展開・折りたたみできるようになっています。
データ処理とLive Editorの改善
unique関数でNaNを重複として扱えるように
R2026aでは、unique 関数に TreatMissingAsDistinct オプションが追加されました。
従来の既定動作では、NaN などの欠損値はそれぞれ別の値として扱われていました。R2026aでは、次のように指定することで、欠損値を重複として扱い、1つにまとめられます。
A = [NaN NaN NaN 4 4 5 5];
unique(A)
unique(A,TreatMissingAsDistinct=false)
欠損値を含むデータの集計やカテゴリ確認をするときに、「NaNは1種類の欠損として数えたい」という場面では使いやすい変更です。
欠損値補完の選択肢が追加
R2026aでは、fillmissing や Live Editorタスクで使える欠損値補完の種類も増えています。
投稿画像では、R2025bとR2026aの比較として、補完方法の選択肢が増えている様子を確認できます。公式ドキュメントでも、fillmissing において "mean" などの補完方法がR2026aから追加されたことが示されています。
欠損値補完は、データの意味や解析目的によって適切な方法が変わります。選択肢が増えること自体は便利ですが、平均、中央値、前後値、補間などを機械的に選ぶのではなく、データの性質に合わせて判断することが大切だと考えます。
Live Editorで多段階リストが作成可能に
R2026aのLive Editorでは、テキスト入力で多段階のリストを作れるようになりました。
解析ノートや手順書をLive Scriptで作る場合、箇条書きの下にさらに詳細項目を入れたいことがあります。これまでは表現しづらかった階層構造を、より自然に書けるようになったのは、教育資料や社内ドキュメント作成で助かる機能だと考えます。
起動時間の改善も地味にうれしい
R2026aでは、MATLABの起動時間も改善されています。
公式リリースノートでは、初回起動後の比較で、R2026aはR2024bより約1.3倍速く起動する例が示されています。また、Editorで複数ファイルを開いた状態からの起動も改善されています。
起動時間は解析結果そのものには関係しませんが、毎日MATLABを開く人にとっては、作業の入り口でのストレスを減らしてくれるように感じます。
まとめ
MATLAB R2026aでは、raincloudplot の追加、対話型Webキャンバス、unique の欠損値オプション、Live Editorの多段階リスト、欠損値補完の選択肢追加、座標軸ツールバーの改善、起動時間の高速化など、日常的な作業を支える改善が多く入っています。
大きな新機能だけでなく、グラフを作る、データを整える、結果を共有する、ノートを書く、といった一連の作業が少しずつ扱いやすくなっている印象です。
よくある質問
raincloudplot はどんなときに使うと便利ですか?
分布の形と個々のデータ点を同時に見たいときに便利です。平均値だけでは見えないばらつきや偏りを確認しやすくなります。
対話型Webキャンバスを見る相手にもMATLABは必要ですか?
公式説明では、Webブラウザ上で一部の操作が可能で、MATLABライセンスがない相手にも共有できる用途が想定されています。
unique(A,TreatMissingAsDistinct=false) は何が便利ですか?
複数の NaN を別々の値ではなく、同じ欠損値としてまとめたいときに便利です。
欠損値補完はどの方法を選べばよいですか?
データの意味によります。時系列なら補間や前後値、全体傾向を見るなら平均や中央値など、解析目的に合わせて選ぶ必要があります。
MATLABのバージョンアップでは、関数の追加だけでなく、解析・可視化・共有・ドキュメント作成の流れ全体が少しずつ改善されます。SCISELでは、MATLAB、LabVIEW、Python、Rなどを使った解析環境づくりや、既存コードの改善、データ処理の相談にも対応しています。新機能を実務にどう取り入れるか迷う場合も、お気軽にご相談ください。
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